陽光は 黄色く 蒼ざめていた
窓の ペンキの白は 剥げかけていた
カーテンには 絵具の赤が 貼りついていた
床は 地上10メートルに 佇んでいた
頭痛は 蒼い稲妻に なった
ひとりの 侵入者が ラヂオから音を
哀れみっぽい 音を 葬り去った
彼は 鏡から 抜け出たのだ
『 喜劇は もう おしまいだぜ 』
彼の手が 伸びた先には ピエロの頭
なぜだか 突きぬけていった
ピエロの顔は なんだか とっても愛おしかった
アタシは ピエロと むかいあっていた
アタシ達を 隔てているのは
目の前に ひろがる 鏡なのだ
『 邪魔スルモノハ 許サナイ 』
だから 柄のとれた 花瓶投げつけた
アタシの髪に 数十片の ガラス
アタシの口唇を 紅く染めた ガラス
静脈を 逆流する ガラス
消えたのは ピエロだけ
『 喜劇ヂャナイ。 悲劇デショ ? 』
アタシの瞳は 怯えたコドモだった
『 いや。悲劇なもんか。
もちろん 悲劇の主人公でもないさ 』
住み家を亡くした侵入者は
皮肉っぽく 薄笑いした
カーテンの 色は いつしか 変わっていた
月 と 太陽 が 並んでいた
月の東には 天国の門
太陽の西には 地獄の扉
部屋は その真ん中に あった
『 喜劇 なんだよ 』
氷柱の瞳した 侵入者が 嘲(ワラ)う
『 あんたは 悲劇 と思ってんだろうぅ ?』
アタシは 窓へと 眼をとばす
『 あんたがね、
悲劇 と思いつづける 限り ...... 』
アタシは 雲のウラを みつめてた
『 あんたは 。
喜劇役者だ 』
アタシは 鏡の在った場所を 探してた
『 それも 欠伸すらもったいない 三文芝居のな 』
『 オマエニ 何ガ ワカルトイウノ カ ? 』
『 だけど
おれの
コトバに
耳を
塞がなかったのは
あんた
だ 』
月の 光の 透けるなかで
彼は いつしか 壁の シミ に同化した
最期に残った 指さきの 爪
指ししめす ひかり は
鏡 なきあと 暗い闇
『 じゃあ。 闇のなかの 桃源郷へ 行くかい ? 』
爪のさきも シミ に なった
不思議だった
なぜだか わからないけれど
アタシは
その入口に 背を むけた
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